コロナ禍において、外出をするにも制限がありひきこもりになりがちな世の中、皆さんはどう感じていますか?
外へ出たい、息がつまる、ワイワイ騒ぎたい、思いっきり発散したいなど思う人もいれば、そうではない人もいるでしょう。
一日二日なら、問題ないが1ヶ月2ヶ月、半年、1年と長くひきこもりになると家族や周りの方は、心配になるのではないでしょうか。
今回は、ひきこもりに陥りやすい原因やきっかけを簡潔にまとめてみました。
◆ひきこもりとは?
その前に、そもそもひきこもりとはどういう意味なのか?そこから紐解いていきましょう。
まず、厚生労働省では、ひきこもりの定義を以下に説明しています。
「仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、6か月以上続けて自宅にひきこもっている状態」を「ひきこもり」と呼んでいます。
6ヶ月以上と定義しているから、「うちの子はまだ5ヶ月なので引きこもりではない」と言い切ることは出来ませんよね。家から外へ出ず、交流がなく改善される見通しがつかない場合は、6カ月に満たなくてもひきこもりと言ってもよいのかもしれません。
また、厚労省の調査によると、20歳から49歳のひきこもり経験率は11.8%です。
実は10人に1人以上の割合でひきこもりの経験があるという結果が出ました。
さらに、ひきこもり存在率は約32万世帯と言われています。つまり、ひきこもりは決して他人事ではなく、自分の身にも起こるかもしれないのです。
◆ひきこもりになりやすいタイプとは?
それでは、どんな状況でひきこもりになるのでしょうか?自ら進んでひきこもる訳ではなく、ひきこもりになるには何かしらのきっかけが必ず存在します。
もちろん一言でひきこもりと言っても、原因は様々なため「こうしたらひきこもりになる」「こうすればひきこもりにならない」という明確な答えはありません。
ただ、「ひきこもりになりやすい」や「なる確率が高い」パターンや出来事は存在しますので、今回はそのような原因や出来事をご紹介いたします。
- 人間関係で躓く
学校でも職場でもそうですが、どうしても人間関係で躓くとショックでひきこもりになることもあります。
つまずいてしまう原因は、さまざまあると思いますが親子との関わりから始まり、保育園や幼稚園、学校での関わりが上手くできずにつまずくケースが多く見受けられます。
それが、短期間で立ち直ればいいのですが、長期間になると心配になるのもわかります。
- 親から必要以上に期待をかけられる(過保護)
ひきこもりの原因の一つに、家庭環境が大きく影響を受けると言われています。
本来家庭は安心安全な場所のはずです。
しかし、家庭内に問題があると、内でも外でも精神的苦痛を感じ、それが原因でひきこもりになることが往々にしてあります。
ひきこもりの原因となる家庭環境の1つが、親から過度な期待をかけられている状態つまり過保護な状態です。
親は誰でも子どもに期待するものですが、それが度を過ぎるとかなり負担になります。「頑張れ」「もっと努力しなさい」など、常に上を求められると、子どもは「今の自分ではダメなんだ」と、自己否定するようになりそれがひきこもりへとつながってしまいます。
- 親が全く無関心無干渉
これは、先程の過保護とは逆で親の無関心と無干渉です。一見、放任主義で子どもの自主制に任せていいように思いますが、親が自分のことに忙しく、子どもと事務的、機械的に接すると「愛されていない」と感じてしまうのです。
たとえ、生活のために収入を得て子どもを育てる理由の忙しさでも、親がそれに精一杯になってしまうと、子どもに愛情が伝わらないのです。
親から無関心無干渉された子どもは、自暴自棄になります。自分が大切な存在だと思えず、「どうでもいい」と投げやりになってしまうのです。
そして、意欲を失いひきこもりのきっかけになります。ひきこもりの入口で、親が心配しても、「どうせ自分に関心がないくせに」と、既に心を閉ざしているので聞き入れてもらえません。また、親の無関心が過ぎると、子どもが外に出ないことに気付くのが遅れます。
- 頑張り過ぎる
例えば、今まで優等生だった子どもが、急にひきこもりに転ずるケースもあります。これは、本人が自覚している以上に頑張り過ぎてしまい、自分のキャパを超えて心がポッキリと折れてしまうのが原因です。
知らず知らずに、頑張り過ぎることがいつの間にか大きな負荷となり、その反動で別人のようにひきこもりになってしまうのです。
親が過度な期待をかけて頑張らざるを得ない場合、本人の中でずっと「辛い」という思いがあります。しかし、自主的に頑張っていると、実は大きな負担になっていると無自覚なので、本人も「頑張りたいのに気力がわかない」と、より一層苦しんでしまいます。
- いじめ
いじめもひきこもりの大きな原因の一つです。受験や就職活動で成功し、新生活を送っていても、いじめに遭遇しそこから逃げざるを得ない状況に追いこまれ、ひきこもりになることもあります。
しかも、いじめでひきこもりになるタイプは「いじめられる自分が悪い」と思い込みやすく、いじめられている自分を知られるのが恥ずかしく嫌で誰にも相談できないのです。
そのため、家族はいつも普通に接していた子どもがなぜ急にひきこもりになったのかが理解できず、「頑張れ」「怠けるな」など傷つく言葉を本人に言ってしまい、心を閉ざし益々ひきこもってしまうのです。
- 夫婦仲が悪い
夫婦仲が悪く、常に家庭内の雰囲気が最悪なのも、ひきこもりの原因になります。子どもは、常に親の顔色を窺うようになり、場合によっては「自分のせいで両親の仲が悪い」という誤った認識をしてしまいます。
当然家庭で安らぐことなどできず、常に緊張を強いられます。夫婦仲の悪い両親を見たくなくて外へ出て行ってしまうか、自室にひきこもりがちになり、やがて本格的なひきこもりに発展するのです。
更に、両親は子どもにとって最も身近で影響を受けやすい存在ですが、その関係性が最悪の場合、自分の未来に悲観的になってしまうのです。未来に希望が持てなければ、意欲は失われて、ひきこもりの原因になります。
夫婦仲が悪く、最悪な家庭内環境が子どもに及ぼす影響は大きいのです。
- 学校・職場になじめない
受験や就職活動の失敗といった大きな出来事がなくても、ひきこもりになるケースがあります。具体的ないじめなどの問題がなくても、学校で仲の良い友達ができなかったり、仲間内で諍いが起きて居場所がなくなったりした場合、大きな精神的負荷がかかります。そして「学校に行きたくない」という思いが強まり、場合によっては家を出ようとすると体調に異変が起こり、気持ちと体が伴わなくなることもあるのです。
最初は「行きたくない」「少しだけ休もう」と、数日間休みます。しかし、休み明け更に学校にいづらくなり、また休むのを繰り返す内に不登校、ひきこもりへと発展してしまうのです。
大人でも、職場に馴染めないとひきこもりの原因に成り得ます。ただ馴染めないだけではなく、上司や先輩など仕事を教わる立場の人と折り合いが悪かったり、パワハラやセクハラなどがあるブラックな職場だったりすると、本人には辛い状況です。
しかし、それが初めての職場だと、「馴染めない自分の方がおかしいのか」と自己嫌悪に陥り自信を失います。そして、解決策を見出せず、出社できなくなり、ひきこもりの原因になるのです。
- 受験・就職活動での失敗
ゴールを目指して努力していたのに、その想いが報われないことがあるのが受験です。志望校に合格すべく、ギリギリのところで踏ん張って頑張っていた場合、受験の失敗が大きな挫折となり、「努力は報われない」と無気力になってしまいます。これも、ひきこもりの原因です。
大きな挫折にぶつかると、再び頑張る気力がわかないのです。滑り止めの学校に合格しても、学校生活を楽しめず、「本当の居場所はここじゃない」という思いが強まります。そして、現実逃避をするように、ひきこもっていくのです。
就職活動の失敗も、大きな挫折です。特に、学業優秀で受験で結果を出してきたタイプが、社会に出る就職活動で躓くと、今までの自分を否定されたような気持ちになり、大きな挫折感を持ちます。真面目な人程「自分は社会に受け入れられない存在だ」と、強い劣等感を持ってしまいます。
就職活動はテストの点数が良ければ受かるという明確な基準がありません。そのため、「努力不足」ではなく「人格否定」と受け取ってしまい、外に出るのが恐くなってしまうのです。学校と社会では価値観が変わってしまう現実が受け入れ難く、ひきこもりの原因となります。
- ゲームやネットへの依存
ゲームやネットにハマり過ぎると、可能な限り家にいて、そればかりしたいという気持ちが強まります。切り替えて会社や学校に行ける内は問題ありませんが、深みにはまり依存状態になると、学校や会社よりもゲームやネットを優先するようになってしまいます。そして、休みがちになり、それがいつしかひきこもりに発展してしまいます。
どうでしたか?全てこれらのケースに当てはまるとは限りませんが、ちょっとした要因でひきこもりになることがわかりました。
個人的な解釈で恐縮ですが、私も経験した立場から、ひきこもりは人間関係を断つ孤独への入り口であると考えます。
まるで、出口の見えない真っ暗なトンネルをずっと走っている感覚に陥りました。
そんな私も、何とか出口を見つけて今は普通に生活をしております。そのやり直した経験を活かして、同じように悩み苦しむ方々の助けになればと思い、カウンセリング業務を行っています。